今回は前回に引き続きまして電源についてのお話。
まずはコンセントの挿し方です。
皆さんがよく目にする平行に二つ穴が、開いた形のコンセント。
「コンセントなんかとりあえず挿せばいいんじゃないの? 」という声が聞こえてきそうですが、まぁその通りです。
とりあえず挿せば電気が取れます。
なのですが、実は極性(プラスとマイナス)があるんです。
コンセントをよく見てみると穴の⻑さが左右で違います。
左側の⻑い方がマイナス(コールド、グランドと呼ばれる事もある)で、右側の短い方がプラス(ホット)です。
同じくプラグ側(機器側)にはよく見てみると「N」のマークが入っている方があります。
何も書かれていないものもありますが…。
N側を⻑い方(マイナス)につなぐ事により極性を揃える事が出来ます。
家電なんかに使われる電源は、交流といってプラスとマイナスが一定の周期で入れ替わっています。
これを周波数と言います。
電源の表示の所に「50Hz/60Hz」と書かれているのを見た事はありませんか。
あれは1秒間に何回極性が入れ替わっているかが表示されています。
静岡県の糸魚川を境にして、⻄日本が60Hz(1秒間に60回極性が入れ替わる)、東日本が50Hz(1秒間に50回極性が入れ替わる)です。
そんな特徴があるので、平行のコンセントは向きを気にせず挿しても電源は入ります。
電源は入って問題なく使えるのですが、音響ではアンプ、ミキサー、スピーカーなど様々な機器を接続する為、極性を合わせておかないと電位差によって、ノイズがのったり音質に影響を及ぼす事があるのです。
「電位差?そんな言葉聞きなれないぞ」という方もいらっしゃると思います。
電位とは、簡単にいえば電気の高さです。
電気は水のように、電位の高い方から低い方へ流れていきます。
電気を正しい流れに導くには、出発点と到着点の電気の高さに差を付ける必要があるのです。
この差を「電位差」といい、ボルト(V)という単位であらわします。
つまり、コンセントの右側(プラス)から左側(マイナス、グランド)に流れていきます。
グランドとはその名の通り地面につながっていて、地面は最も低い電位「0V」になります。
我々音響屋はノイズがのったりすると、コンセントを左右入れ替えて挿し直し極性があっているかを確かめ、 ノイズが消えないか試したりする事もあります。
ちなみに音響機器などのプラグは、平行の二本の他にもう1本ついてて3芯になっているものもあります。
この3本目の棒はアースなのですが、これがある事により極性を間違わずに挿し込む事が出来るようになってます。
「アース」またまた違う言葉がでてきました。
このアースはグランドと同じく地面に繋がっているのですが、グランドとはまた別の役割を持っております。
冷蔵庫や電子レンジなどの電気製品にコンセントとは、別のケーブルが付いていて、コンセントに接続されていることがあります。
このケーブルはアース線といって、コンセントを介して地面に接続されています。
アースの目的は、感電を防ぐことです。
もしも電気機器が故障によって漏電している時、その電気機器に人が触れると電気が流れて感電してしまいます。
アース線で電気機器と地面を繋げておけば、もし漏電しても電気は人よりも地面に優先的に流れていく為、感電を防げるのです。
故障でなくても音響の場合、色々な機材が接続されているので機器間で電位差が起こりやすく、電位差が起きるとその機材を触った時に、人を通して機材間に電気が流れ電位差が0になろうとします。
いわゆる感電状態です。
それを防ぐためにアースを接続して、人の変わりに地面を介して器機間の電位差を0にする事も非常に重要になってきます。
最後は難しくなってしまいましたが、お手軽な割に大事故に繋がりかねない電気の話でした。